【中古住宅のリフォーム】購入で失敗しない12の注意点

1)中古住宅のリフォームで失敗しないための注意点とは?

新築よりも安く夢のマイホームを手に入れることができる中古住宅。中古でもリフォームによって新築にも負けないきれいな住宅にすることができます。探せばお得な掘り出し物件も存在するので上手く利用したいところです。
しかし変な物件を買ってしまうとリフォームにお金がかかりすぎてしまい、新築を買った方がよかった。ということにもなりかねません。大失敗をすればまともに住めない不良物件を購入してしまう可能性もあります。

リフォームを見据えた中古物件の購入ではどのようなことに注意して物件を見ていけばよいのでしょうか?

この記事では中古住宅購入で失敗しないための12の注意点をまとめています。
この記事を読めばリフォームに適した中古住宅を購入する要点が分かります。中古住宅購入を検討する際に不安なこと、失敗しないために必要なことが分かるようになります。
これから中古住宅の購入について考えている方は参考にしてください。

2)中古住宅購入のメリット・デメリット

/// 2-1.中古住宅購入のメリットとデメリットを理解しておく

中古住宅の購入で失敗しないためには、
中古住宅のリスクを理解し、購入前に確認することが重要です。リスクが全くない中古住宅はありません。リスクの程度を見極めて購入を判断します。

まず初めに中古住宅のメリットとデメリットについて知っておきましょう。中古住宅を購入するメリットを感じられず、デメリットも全く受け入れられないのであれば中古ではなく新築での購入をおすすめします。

/// 2-2.中古住宅のメリット

中古住宅のメリット

  • ① 価格の安さ
  • ② すでに完成している
  • ③ 進化できる
  • ④ 設備が残っている

価格の安さ

中古住宅は同レベルの新築を購入するより安い価格で家を入手することができます。新築ではある程度価格は決まっていますが、中古物件では売り手と買い手の状況によって相場より安く購入できる場合もあります。

すでに完成している

中古住宅はすでに完成しているため、その場で良い物件かどうかを判断できます。新築では間取りや建付けなど完成しないと分からない要素が多くあります。
すでに完成しているので設計や施工期間なく、短期間で入居できるというのも大きなメリットです。

進化できる

中古住宅には前の住人や設計士が立地や間取りを利用し、利便性を最大限に考えた工夫がたくさん詰まっています。中古で購入するということはゼロから考えるより効率が良く、リフォームを行うことで住宅をさらに使いやすく進化させることも可能です。

設備が残っている

中古住宅には給湯器、照明、ガスコンロなどが残されているケースが多くあります。必要ないものは撤去してもらえないか相談し、お得な設備はそのまま使用することができます。耐用年数等の配慮は必要ですが、自分で全てそろえるより時間と経費の節約になります。

/// 2-3.中古住宅のデメリット

中古住宅のデメリット

  • ① リフォーム費用が必要
  • ② 傷や劣化がある
  • ③ 使用感がある
  • ④ 売りにくい

リフォーム費用が必要

築年数や設備の耐用年数に寄りますが、新築よりは早めにメンテナンスの必要性があります。メンテナンスは外壁、屋根、内装、水道管、ガス管など家の機能に直結するものを優先的に行う必要があります。

傷や劣化がある

中古住宅には内装を直している場合もありますが、前の住人が置いていた家具の跡や壁紙の日焼け、柱や床の傷などが残っている場合があります。未入居の住宅も中古として販売されていることがありますが、それでも年数を経過した分の劣化はあります。

使用感がある

内装工事を行っていても、前の入居者が使用していた形跡は完全には消えません。内装工事の難しい柱や床、サッシなど、細かいところを見れば使用感は残っています。気になるかならないかは程度と買い手の価値観によります。

売りにくい

中古で購入している時点ですでに築年数が経過しています。中古住宅で生活するということは【自分たちが住んだ期間+購入前の期間】が築年数となるので、家族が成長して住み替えたいときには大幅に価値が下がっている可能性があります。

3)中古住宅でチェックする12の注意点

中古住宅購入時【12の注意点】について確認をしていきます。
もしこれから中古住宅の内見に行かれるのであれば12の注意点をメモしておき、現場で確認できるようにしておくことをおすすめします。

/// 3-1.築年数は中古住宅の基本情報

築年数の注意点では、今後のメンテナンス費用、修繕やリフォームの必要性を考える基本情報として築年数を把握する必要があります。
一般の木造住宅では築30~50年が建て替えの目安とされています。
前の所有者が適切なメンテナンスを行っていれば長持ちしますし、逆にひどい扱いをしていれば早くダメになってしまいます。購入前にどの程度のリフォームがされているのかも併せて確認しておきましょう。

築30年~50年を超えている中古住宅では大幅なリフォームを必要とする可能性があるという視点で築年数を把握します。

中古物件で築年数を確認する際は法律の改正にも注意しておきましょう。
建築物の法律は改正されることがあります。築10年以上経過した住宅は現在の安全基準を満たしていない場合や違法建築となってしまっている場合などがあります。

/// 3-2.耐震性確保が最優先

耐震性は地震の多い日本できわめて重要で、最優先にリフォームすべき家の機能です。
家は大事な家族が住む場所です。安全性の低い家は家族の命を危険にさらすことになります。近年では毎年のように日本各地で大きな地震が起きています。地震は他人事ではありません。耐震性の確認はもっとも重要な注意点です。

日本の建造物は全て法律で一定以上の耐震性が必要とされています。耐震性についての法律は幾度も改正されています。大きな変更として「1971年」「1981年」「2000年」の法改正があります。
2000年の法改正前の住宅は今の法律で必要な耐震性が確保されていない可能性があります。今すぐ倒壊の恐れがあるわけではありませんが、昨今の大きな地震に耐えられない可能性と、売りに出すときにデメリットとなり売れにくいということが考えられます

耐震性の確認については新築時に「住宅性能評価表」が存在していればそれで確認することができます。表をなくしてしまった、そんな表は存在しないという場合は建築士事務所に「耐震診断」を依頼することで住宅の耐震性を知ることができます。

/// 3-3.見えない違法建築に注意

違法建築を知る注意点として、見た目では分かりにくい場合があるということです。違法建築は悪質な改造を施した家ばかりではありません。違法建築には次のようなパターンがあります。

違法建築になる中古住宅のパターン

軽微な増改築を繰り返した結果、違法建築となってしまった。
・建築当時は違法ではなかったが法律の改正により違法建築となってしまった。
土地の分譲などを行い、結果違法建築となってしまった。
・違法と知りながら法律を無視して建築や改築を行った(悪質)

上から3つに悪意はなく、結果的に違法となってしまったパターンです。中古住宅では明らかに悪質ではない、違法建築というものが存在します。

違法建築の問題点

・現在の法律で定められた安全性の確保ができていない。
・違法ということで、自分が家を売ろうとするときに買い手が付きにくい。

違法建築は現在の安全基準を満たしていないだけではなく、購入時にローンが組めないという問題があります。違法建築に対しては審査が通らずローンが組めないため、違法建築だと知っていて購入する際は現金で購入するということになります。

/// 3-4.水回りのリフォームは要確認

中古住宅ではいろいろな面でリフォームが考えられますが、併せて必ず確認しておく必要があるのが水回りのリフォームです。

水回りは生活に重要なだけではなく、トラブルが起きたときの被害も大きいのが特徴です。水漏れが起きればすぐに対処しないと家の木材が腐ってしまいます。

特に注意すべき点はきれいにリフォームされた住宅です。中古住宅で壁紙、床、キッチンなどをきれいにリフォームしている場合でも、配管や蛇口などが老朽化している場合、結局内側から壊れていきます。

水回りに対してどのように、どの程度のメンテナンスが行われているのか、築年数と共に配管補修の必要性も考慮していくことが重要です。

/// 3-5.屋根と外壁材は劣化に注意

屋根と外壁のリフォームは大きな費用がかかるので劣化状態や耐用年数について確認しておきましょう。
外壁と屋根は劣化すると水がしみ出して雨漏りなどが起こります。
雨漏りは家の木材を腐らせるので放置できず、直ちに修繕する必要があります。

屋根の素材と状態を確認する

屋根は危ないので無理に登ったりせず、見える範囲で確認をします。どうしても心配な場合は専門の人に確認を依頼しましょう。

主な屋根の素材

日本瓦、セメント素材、ステンレス素材など、見た目は同じようでもいろいろな素材の瓦があります。それぞれ耐久性が違いますのでかならず何素材の瓦か確認しましょう。

スレート

スレートはセメントを板状にした屋根素材です。スレート素材が反り、浮き、断面がミルフィーユ状に剥がれ始めていたらかなり劣化しているので要注意です。葺き替えの必要があるかもしれません。

金属

トタンやガルバリウム鋼板など金属系素材を使用した屋根です。それぞれ耐久性などに違いがありますが、共通して大敵は錆びです。錆びは広がったり移ったりするので錆がひどい屋根は早急に塗装などを検討する必要があります。

劣化がひどい場合は塗装では改善できないので葺き替えや、今ある屋根の上に新しい屋根をかぶせるカバー工法でリフォームを行う必要があります。

外壁の素材と状態を確認する

主な外壁の素材
モルタル

セメントに砂を混ぜた外壁材です。ひび割れが起きやすい特徴があります。おおきなひびわれやかけている部分がある場合は早急な対応が必要です。

窯業系サイディング

タイルやレンガ調などの形状をした外壁ボードを張り付ける外壁です。ボードのつなぎ目のコーキングから傷みやすいのでつなぎ目が傷んでいる場合は注意が必要です。

金属サイディング

トタンやガルバリウム鋼板などの素材を外壁ボードとして張り付ける外壁です。錆びがある場合はそこから横や奥に浸蝕していきます。錆び対策が必要になります。

木材

木の板を打ち付けた外壁材です。木が柔らかくなったり腐ってぽろぽろ落ちたりする場合は要注意です。範囲によっては張り替える必要があります。

外壁塗装の劣化状態を確認

外壁塗装の劣化状態
クラック

外壁のひび割れ。3㎜以上隙間があると早めの修繕が必要です。

チョーキング

触って手に白い粉が付く場合は塗装が劣化している状態です。

剥がれ

塗装の膜が剥がれて下地が守られていない状態です。

錆び

金属系の外壁に起きる錆びは放置しておくと錆が広がる特性があります。

コーキングの劣化

サイディングボードのつなぎ目のコーキングが劣化しそこから水が染み込んでしまう状態です。

これらの症状がある場合、早めに外壁塗装を行う必要があります。 外壁塗装が劣化しているのに放置しておくと、外壁の隙間から水などが染み込んで家の骨組みや壁の内側を腐らせてしまう原因となります。 屋根と外壁の状態をチェックし、メンテナンスに必要な費用を考慮しておきましょう。

/// 3-6.利便性の良い道路付けになっているか

道路付けとは

敷地と道路がどのように接しているか?ということです。

道路付けの注意点として、車や人の出入りの利便性と、将来的に売却する際にマイナス要素となることがあるということです。玄関周りのリフォームで改善する場合もありますが、中古住宅では他のリフォームに優先して費用をかけたいところです。余計な費用を掛けないためにも道路付けについて評価しておきましょう。
道路付けの確認としては次の方法で確認します。

道路付けの確認方法

住宅の配置や向き

家と道路の配置や向き、玄関とのつながりが不便ではないかを確認します。

駐車場の配置

道路から車が出入りしやすいかどうかを確認します。

道路の大きさ

道路の幅と交通量を見て、人や車の出入りが不便でないかを確認します。

私道ではないか

家の出入りに必要な道が私道でないかを確認します。私道である場合、どのような取り決めになっているかなど書面で確認が必要です。

/// 3-7.注意すべき駐車場の形状

駐車場の位置や敷地の形を確認します。駐車場は車が止められれば良いだけではありません。いざ家を売りに出したいといった場合、家の価格や売りにくさに関係してきます。

注意すべき駐車場の特徴

出入りしにくい

道路との位置関係や駐車場の大きさ、庭の状態など車が出入りしにくい駐車場になっていないかを確認します。

旗竿地

縦に2台分の駐車場に続いて奥に住宅があり、真上から見ると旗のような形をしている敷地を旗竿地と言います。旗竿地は奥の車を出す際に手前の車を出さなければいけないデメリットがあります。

堀車庫

堀車庫は家の下など掘り下げた部分にある駐車場です。堀車庫は車庫を広げるなどのリフォームは難しく、修繕や補修にも費用が掛かります。

好みの問題もあり、気にならない人やデメリットを受け入れられるのであれば問題なく生活は可能です。ただ共通して言えることは使いにくい駐車場は売りに出すときにはマイナスの要素になるということは知っておきましょう。

/// 3-8.越境問題がないか要確認

越境とは

隣近所など敷地を越えてはみ出している物がある状態のことを言います。

越境の注意点は、他人の土地や権利に関わっていることなので、トラブルの原因になりやすいことです。越境の有無、取り決められていることがないかは必ず確認しておきましょう。

越境には地面より上の越境と地面より下の越境があります。
地面より上の越境は木やブロック塀などがあります。地面より下の越境には水道管や下水管などが敷地内を通っていることがあります。

また隣近所からの越境だけではなく自分の土地からの越境というパターンもあります。

越境は購入時点でどのような取り決めになっているのかを確認し、撤去してもらうのであれば不動産業者や売主に購入前に対応してもらいましょう。購入後では自分の責任になってしまいます。
越境に関する対応については他人との権利が関係します。どのような場合であっても必ず書面にて対応を決めてもらいましょう。口頭では時間の流れとともに曖昧になり、約束を反故されるなど後々トラブルになります。

/// 3-9.擁壁はリフォームしにくい

擁壁とは

道路と敷地の高低差などを調整するために敷地の土が崩れるのを防ぐために作られた壁のことです。傾斜の大きい地域などによく見られます。特に高さ3m以上の擁壁がある場合はそのリスクについて理解をしておきましょう。

擁壁に注意点として、リフォームや建て替えが難しくなり、費用も掛かるということがあります。

高い擁壁(目安3m以上)がある場合のリスク

費用が掛かる

擁壁は家をさせる土台です。劣化が進めば修繕を行わなくてはなりません。その際には100万円前後の費用が必要になります。擁壁が大きければそれだけ費用は高くなります。

災害の影響

擁壁のない平らな土地に比べて水害や地震の影響を受けやすい特徴があります。

売りにくい

家を売る場合はそれなりの年月が経過していれば、擁壁もメンテナンスが必要になってきます。メンテナンス費用をどうするかは、住宅を売りに出す際にリスクとなります。

大きな擁壁がある地域では傾斜があるため景色が良いなどメリットもたくさんあります。
擁壁がある家がダメなわけではありません。住宅自体がしっかりメンテナンスされていればその分擁壁へのメンテナンス費用に充てることもできます。
擁壁はリスクだけではなく住宅全体の評価と併せて考えていきましょう。

/// 3-10.断熱材は必須

断熱材は見落とされがちですが、生活に直結する大きな要素です。

断熱材の注意点としては、
断熱効果が弱い家は夏に熱く、冬に寒く、冷暖房など光熱費も高くなります。

断熱材は天井、床下、壁に使用されています。建築時の図面などが残っている場合は確認することができますが、他にも屋根裏や床下から確認することもできます。

調べたときに断熱材の綿がはみ出して散乱している場合や、明らかに板張りのままで断熱材の使用が確認できない場合は要注意です。断熱材が全くない、機能していない家は外気温に対して無防備な状態です。不安な場合は不動産業者や専門の人に断熱材の状態についてしっかり調べてもらいましょう。

/// 3-11.水害の影響が少ない土地を選ぶ

住宅が建っている土地がどんな特徴であるかを知ることは大切です。土地の特徴によって起こりうる災害やリスクについて確認しておきましょう。

土地を選ぶ注意点として、地震や火災は予防や対策が可能ですが、洪水や液状化現象などの
水害は地形に関係するのでどんな家を建てても防ぐことができません。水害に遭ってしまえばせっかくリフォームしても住めない家になってしまうこともあります。

地域のハザードマップを見て水害の恐れがあるかどうか、近隣の河川が氾濫した際に影響を受けやすいかどうかを確認することができます。土地が低い場所、大きな河川が近くにある場所は災害についてのリスクも確認しておきましょう。

埋め立て地や沼地も地震などの影響を受けやすい特徴があります。
埋め立て地は大きな地震により地面が液状化現象を起こしてしまうことがあります。地面が泥のように緩くなるので家を支えられなくなってしまいます。
昔沼地だった場所も水分を多く含む特徴があり、大きな地震の際には影響を受けやすい特徴があります。

埋め立て地や昔沼地だった土地では、
地盤に対する耐震対策、工事をどのように行ったのかを確認しておくことが重要です。

/// 3-12.基本設備の設置年数

中古住宅では設備が残されたままであることがよくあります。状態が良く、壊れなければお得な要素となりますが、価格への反映設備の耐用年数については確認しておきましょう。
中古住宅によっては設備が残っていることを評価した価格が全体の価格に上乗せされている場合と、ほとんど家の価格に影響していない場合があります。

基本設備の注意点としては、撤去費用や予想していなかった買い替えの費用などが生じてしまうとリフォームに回す予算が減ってしまう可能性があるということです。

残っている設備の注意点

撤去する費用

太陽光発電機等大掛かりで撤去するのに費用が掛かるものがあります。必要ないのであれば購入前に取り外してもらいましょう。

劣化状態

設備の提要年数と劣化状態から、どのくらい使用できるか算段しておきましょう。見た目では分かりにくいものですが、明らかに古いものや劣化している状態かどうかを見ます。

主な設備の付け替え費用

必要ない設備、壊れそうな設備は購入前に取り外してもらいましょう。工事が必要なもの、廃棄料金が掛かるものなど、不要な設備は購入前に処分してもらいます。

4)失敗しない中古住宅の購入方法まとめ

リフォームを見据えた中古住宅の購入では、中古住宅の状態をよく確認して、どのくらいのリフォームが必要なのかを見積もることが重要です。

リフォーム費用が掛かりすぎてしまうのであれば新築を購入したほうが良い場合もあります。中古住宅の劣化状態やリフォーム後の住みやすさ、買い替えなども視野に入れてしっかりと物件を調べてから購入する必要があります。
確認したいことは不動産業者に相談すれば基本的な情報は教えてくれます。安い買い物ではないので遠慮せずにしっかり確認しましょう。

これから中古住宅購入を考えている人はこの記事で解説した【12の注意点】を参考に住宅の情報を集めて評価してみてください。

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