飲食店開業に必要な手続きから店舗設計までの流れをロードマップで分かりやすく解説!

飲食店を開業するために必要なことは?

「自分の力で商売をしたい」「地域に貢献したい」飲食店を開業したいと夢はあるけれど、実際何をどうしたらいいのか分からず、悩んでいませんか?飲食店を開業し、事業を成功させるためには、具体的にどのようなステップを踏んでいけばいいのでしょうか?

飲食店を開業する際に、手順の全体像を把握し、経営まで考えたポイント理解しながら実行することが、開業後の経営を安定させる秘訣です。

この記事では飲食店開業までのロードマップや必要な資格、手順、具体例など、成功のポイントまでを一気に理解することができます。具体的な手順や注意点を把握することで、飲食店を開業するという自己実現に向けて一歩を踏み出すことができます。
飲食店での起業や自分のお店を持つことに興味がある人は読み進めてください。

目次
1)飲食店開業までのロードマップ
  1-1. ロードマップ
  1-2. 開業までにやることの内容
  1-3. 開業までに必要な期間
2)開業に必要な資金
  2-1. 開業に必要な資金の相場
  2-2. 開業資金の内訳
  2-3. 開業資金の作り方
  2-4. 開業後の費用も重要
3)物件探しが最も重要
  3-1.飲食店は物件で決まる
  3-2.物件の選び方
  3-3.物件費用の考え方
4)開業に必要な資格
  4-1.飲食店開業に必要な資格
  4-2.食品衛生責任者の取得
  ①食品衛生責任者になる方法
  ②食品衛生管理責任者講習の申し込み方法
  4-3.防火管理者の取得
  ①防火管理者になる方法
  ②防火管理講習の申し込み方法
5)飲食店開業に必要な手続き
  5-1.手続き先と必要な場面一覧
  5-2.手続きのポイント
6)経営を存続させるコンセプトの作り方
  6-1.「自分のやりたいこと優先」は失敗する
  6-2.存続するにはマーケティングが大切
  6-3.コンセプトを7W2Hで作る
7)事業計画書の書き方
  7-1.事業計画書の役割
  7-2.事業計画書の記入内容
  ①企業概要
  ②事業内容
  ③根拠・数値での証明
  ④実施スケジュール
8)経営システムを作る
  8-1.仕入れ先の確保
  8-2.人事システムを作る
  8-3.商品を開発する
  8-4.集客の仕組みを作る
9)失敗しない店舗設計のポイント
  9-1.コンセプトの統一
  9-2.作業導線の確保
  9-3.お客様の動線の確保
  9-4.DIYで作るメリットとデメリット
10)店舗設計事務所の選び方
  10-1.実績のある設計事務所を選ぶ
  10-2.複数の設計事務所で見積もりを取る
  10-3.相性の良い設計事務所を選ぶ
11)まとめ

1)飲食店開業までのロードマップ

/// 1-1.ロードマップ

まずは飲食店の開業を決めてから実際にお店を開くためのロードマップを見て開業までにやることの全体像のイメージを掴んでおきましょう。

/// 1-2.開業までにやることの内容

次はロードマップの各項目の内容について確認していきます。

コンセプト立案

どのようなお店にするか、飲食店の形態や規模、ビジネススタイルなどのコンセプトを考えてある程度の方向性を決めておきます。

物件探し

コンセプトを実現可能な店舗を探します。コンセプトに合ったお店が見つからない場合は経営自体が困難になる可能性があります。店舗が見つからなければコンセプトから考え直す必要もあります。

資格の取得

飲食店を開業するために必要な資格があります。資格を確保しておかないと計画が止まってしまったり、信用に影響したりすることもあります。取れる資格は早めに取得しておきましょう。取得してから動くのではなく他の作業と並行して進めていきます。

事業計画の作成

具体的にどのように運営し、利益を出していくのか。事業計画を作成します。事業計画は次のステップである資金調達に大きく関わってきます。

資金調達

事業計画で見積もった開業に必要な資金を用意します。融資を受ける場合は事業計画書を作成し、金融機関等と交渉する必要があります。

各種手続き

飲食店を開業するために必要な許可、申請手続き等を行います。公的な手続きが通らなければ以後の準備が進んでも開業することができなくなってしまいます。

経営システムの構築

お金の流れ、仕入れ先の確保、サービスの提供方法、人事等お店の経営システムを運営できるレベルで構築する必要があります。

内装工事・機材搬入

内装工事や営業に必要な機材や備品を揃えて、お店が稼働できる状態を作ります。

従業員募集・教育

従業員を雇う場合は募集し、実際どのように営業していくのかという指導や教育を行います。

広告・宣伝

開店を知らせる広告などを利用して宣伝し、お店を知ってもらいます。

プレオープン(最終チェック)

仮オープンを行います。実際に料理を提供し、問題点がないか最終的なチェックを行います。
プレオープンには知人友人や関係者を招いたり価格を下げたりし、プレオープンであることを公表してお客様を集めます。

/// 1-3.開業までに必要な期間

飲食店開業までに必要な期間を見積もっておくことはとても大切です。開業までには最低でも6ヶ月~12カ月程度はかかると考えておきましょう。
開業までの期間はお店を運営することができないので、お店からの収入はありません。今勤めている仕事を辞めて開業に取り組む場合、開店までの期間が延びるほど経済的に厳しくなってきます。
開業までの工程はロードマップを参考にしながら、どのくらいの期間で進めていくかということを計画的に行うことが大切です。

飲食店開業ではノウハウの有無、業態、規模、コンセプトなどによっても開業までの期間に大きな違いが起きます。
例えばある程度の知識や資格、人脈などがあれば開業までの期間は短くなります。逆に一から手探りで始める場合や、お店の内装、仕入れ、メニューなどに手をかければ期間は長くなります。
何もかも順調に進んでも最低6ヶ月~12カ月くらいの期間はかかるという前提で、余裕のある計画を立てていきましょう。

2)開業に必要な資金

/// 2-1.開業に必要な資金の相場

飲食店の開業に必要な資金の相場は数百万円~一千万円程です。飲食店の開業資金は業態や規模、扱う料理やお店を出す地域によって異なります。小規模で経費を掛けなければ少なくなり、規模が大きく、凝ったものにすればそれだけのお金が必要です。
これだけあればお店が出せます!という基準はありませんが、自分で飲食店を開業しようとする人の多くが概ね一千万円程度を開業資金の目安として考えられています。

/// 2-2.開業資金の内訳

開業資金の内訳についても、規模や業態、やりたいことによって使い道が変わってきます。ここでは飲食店を開業するために最低限考えて置くべき費用を内訳の例として挙げますので参考にしてください。

開業資金の内訳

・店舗費用(敷金・礼金・前家賃3か月分)
・内装工事費

開業までには上記以外にも資格の取得費用、手続きの費用、どこかに出かけるたびに交通費が必要になるなど別途細かいお金も出ていきます。資金の計画は余裕をもって考えておきましょう。

/// 2-3.開業資金の作り方

開業資金の作り方は主に次の5つの方法があります。

開業資金を作る方法

・自己資金(自分でお金を貯める)
・親戚や知人に借りる
・助成金を利用する
・クラウドファンディング
・銀行融資を受ける

飲食店の開業は事業を始めるということなので、基本的には融資を利用して資金を作ります。
自己資金で飲食店を開業する人もいますが、多くの人はそのような財源は持っていません。給料を貯金するにも限界があります。助成金は地域や実施しているタイミングが合わなければ利用できません。
最近ではクラウドファンディングを利用して起業する人も増えています。
親戚や知人など親しい人にお金を借りるのは、もめごとや人間関係の崩壊になりやすいので注意しましょう。

計画的に飲食店を開業する人は頭金を貯めて融資を受ける方法が一般的です。融資をしてくれるのは銀行や信用金庫などの金融機関です。
融資を受けるためには頭金(30%が相場)と、融資先を納得させられる事業計画が必要です。

/// 2-4.開業後の費用も重要

飲食店を始める資金では、開業後の運転資金を確保しておくことが大切です。飲食店をオープンしてもすぐに安定した集客ができるということは稀です。運転資金を確保しておかないと、開店してお客さんが定着する前に経営が成り立たなくなってしまうことがあります。基本的には経営が安定するまでに最低3か月は収入がなかった場合の資金を用意しておくようにしましょう。

3)物件探しが最も重要

/// 3-1.飲食店は物件で決まる

飲食店の開業には立地や店舗の条件が事業の成功に大きく影響します。飲食店では人通りの多い場所や競合の少ない地域など物件選びが重要です。
「おいしいものを提供すればお客は来る」という考えで飲食店の開業をするのはとてもリスクの高い方法です。
飲食店を開業して成功させるためには、まずコンセプトや業態に合った、集客の見込める物件を探すことから始めます。

/// 3-2.物件の選び方

飲食店の物件は業態や規模にもよりますが、共通しているポイントがあります。

物件選びのポイント

・賃料は月の売り上げの10%以下で支払える金額にする
・業態やコンセプト、搬入機材に合った面積の確保

賃料は毎月支払わなければならない固定費です。理想を膨らませて高い物件を選んでしまうと開業後の経営を圧迫します。

お店の面積は、営業し十分な客席を確保できるか、機材などの搬入は可能かを確認しておきましょう。

人通りや競合を調べることで集客が見込めるかどうかを検討します。
飲食店を開業すると、経営が軌道に乗って安定するまで多忙になることを予想して、自宅から近いか、自宅と兼用できるような店舗がおすすめです。

テナントを借りる場合、入れ替わりの激しい店舗は注意が必要です。立地に問題がある可能性だけではなく、「ころころお店が変わる」「変なお店」という悪い印象を持っている場合があります。その場合、自分には問題が無くても悪い印象からのスタートになります。

/// 3-3.物件費用の考え方

店舗をテナントなどの賃貸にした場合、その賃料は毎月固定費として支払わなければなりません。お店の売り上げが高くても低くても変わらない出費となります。物件を購入した場合でもその分の費用を売り上げによって回収しなくてはなりません。

飲食店を経営する上で、支払いと利益のバランスの目安というものがあります。このバランスを崩してしまうと経営が上手くいかず、利益を出すことが難しくなります。

月の売り上げの内、食材費が30%、人件費も30%。家賃は10%でその他光熱費や修繕費、広告費等含む費用は20%になります。残った利益は10%となります。
家賃を高く設定するということは他の費用を削るか利益を減らすかという選択肢になります。また家賃以外の費用と利益は減らすことができますが、固定された家賃は売り上げが低くても変わりません。
家賃は売り上げが見込める金額の10%未満に設定し、できるだけ費用を抑えることが大切です。

4)開業に必要な資格

/// 4-1.飲食店開業に必要な資格

飲食店開業には「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格が必要です。
必ずしもオーナー自身が持っている必要はありませんが、飲食店を開業するために配置する義務があります。小さな飲食店で開業し、自分がキッチンに立つ前提であるなら資格取得は必須です。どちらも難しい勉強が必要なものではなく、講習を受ける程度で取得できます。開業の申請手続きに必要になるので余裕をもって早めに取得しておきましょう。

/// 4-2.食品衛生責任者の取得

①食品衛生責任者になる方法

食品衛生責任者になるためには2つの方法があります。
・都道府県知事が認める講習を受講し修了する
・次の資格のいずれかを持っている
栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、畜場法に規定する衛生管理責任者もしくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者。

②食品衛生管理責任者講習の申し込み方法

食品衛生管理責任者の講習申し込みは各都道府県によって違いがありますが、保健所が管轄しているので保健所に問い合わせるか、講習を行っている社団法人等のホームページから申し込み書類をダウンロードできます。

/// 4-3.防火管理者の取得

①防火管理者になる方法

飲食店は火の使用が多く、火災のリスクを軽減するための予防と安全を管理する必要があり、「防火管理者」の配置が義務付けられています。

防火管理者になる要件

・防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること。
・防火管理上必要な「知識・技能」を有していること(防火管理講習を修了した者)

つまり、飲食店を開業する本人は「管理的・監督的地位」は満たしているので、あとは防火管理講習を受けて修了することで防火管理者として配置することができるようになります。

②防火管理講習の申し込み方法

防火管理者は消防法に定められる国家資格ですが、1~2日程度の講習を受けることで取得することが可能です。
防火管理講習の申し込みは主に消防署や委託された防災系の法人が取り扱っています。消防署に行くかインターネットで申し込む方法が一般的です。国家資格なので都道府県や開業地域に関わらずどこで取得してもどこでも使うことができます。

5)飲食店開業に必要な手続き

/// 5-1.手続き先と必要な場面一覧

/// 5-2.手続きのポイント

上記一覧表が飲食店を開業する際に必要となる基本的な手続きです。その他に特殊なサービスや商品を取り扱う場合にはそれに対応した許可申請や資格が必要になります。

手続きでは資格を持っていないと申請できない物があります。飲食店に必要な基本資格は「食品衛生責任者」と「防火管理責任者」です。その他に取り扱う商品やサービスの業態によって資格が必要な場合があります。
基本資格の取得と共に早めに手続きを開始し、足りない資格や証明証などがあっても対応できるようにしておきましょう。

6)経営を存続させるコンセプトの作り方

/// 6-1.「自分のやりたいこと優先」は失敗する

飲食店を開業する際に、自分のやりたいことを優先にしたコンセプトでお店を作っていくと、経営は上手くいきません。自分のお店を出す際には夢が大きくなりがちですが、注意が必要です。

理想とするデザインや商品、価格帯を提示すれば集客できるわけではありません。市場調査を行わずにこだわりと理想でお店を出すということは一方通行のコミュニケーションのような状態です。
こだわりに共感してくれる人が多少集まるかもしれませんが、その人たちだけの支援でお店を存続することは難しいでしょう。

/// 6-2.存続するにはマーケティングが大切

マーケティングとは市場を調査し、顧客中心のアプローチを行うということです。
例えばサラリーマンが多いオフィス街で客単価1500円のおしゃれなランチメニュー中心のお店を出しても需要はほとんどないでしょう。

選んだその立地にどのような顧客のニーズがあり、どのような商品を提供すれば集客できるのか。という視点でお店のコンセプトを決めていきます。
お店は必要とされれば存続し、必要が無ければ潰れます。必要とする人がいるからお金をもらうことができるという商売の基本的な法則を忘れない用意しましょう。

/// 6-3.コンセプトを7W2Hで作る

具体的に実用的なコンセプトを考えるときには「7W2H」を使って作っていきます。

この7W2Hを使って飲食店のコンセプトを具体的に考えていく必要があります。コンセプトの曖昧さは「何のお店なんだろう?」とお客様を不安にさせてしまいます。

コンセプトを明確にしておくことで「うちはこういうお店で、こういうお客様のためにサービスを提供しています!」という明確なメッセージになり、競合店との差別化にもつながります。
コンセプトを考えるときは何となく理想ではなく7W2Hを使って現実的に考えていくことが大切です。

7)事業計画書の書き方

/// 7-1.事業計画書の役割

事業計画書は事業のビジョンや目標を整理します。頭の中ではなく計画書に書き出すことで将来の展望をより現実的に考えることができます。

事業計画書は融資を受ける際など外部にお店の方向性や方針を伝えるためにも必要になります。より具体的な経営方法を考え、自信をもって説明できなければ他者からの協力を得ることは難しいでしょう。
事業計画書は概要説明だけではなく、7W2Hで示した具体的なコンセプトを示し、経営の方針明示、外部とのコミュニケーションへの活用という役割があります。

/// 7-2.事業計画書の記入内容

①企業概要

創業者、メンバー、資本金、経営理念など企業としての全体像を簡潔にまとめます。

企業概要の項目例

・代表者名
・企業名・屋号
・所在地
・設立年月日
・資本金
・業態
・代表者の経歴・所持資格
・企業の動機
・企業理念

②事業内容

事業計画書では幹となる部分です。何を誰にどのようにして販売するのか等マーケティング戦略や市場分析、営業方法、仕入れ先や収支の管理方法など可能な限り具体的に詰めた内容を分かりやすく記載します。

企業概要の項目例

・事業の目的・目標
・コンセプト
・商品・サービスの内容
・ターゲット
・経営の仕組み
・商品の提供法保
・市場分析(マーケティングの根拠)
・競合分析
・自社の強み
・販売計画(仕入れ・客単価・収支計画)
・集客・販売促進の方法
・人員計画(雇用や福利、人材確保の計画)

③根拠・数値での証明

どのような根拠で経営を継続していくのかを数値で表します。特に融資を受ける際は数値で経営が存続できることを示す必要があります。事業内容で示した内容は数的根拠で説明できるようにしましょう。

数的根拠の項目例

・設備資金(自己資金・借入資金)
・運転資金(自己資金・借入資金)
・損益計画(最低3年分)

④実施スケジュール

①~③でどのようなことをしたい会社なのかが分かったところで、最後に実現に向けたスケジュールを示しましょう。ここまででやるべきことは全て書き出せたはずです。それらを実行するスケジュールを立ててどのように実行していくかを示します。

スケジュールを立てるポイント

・具体的で詳細なスケジュールを立てる
・実行可能なスケジュールを立てる

やるべきことに抜け・漏れがあると、スケジュール全体に遅れが生じてしまいます。スケジュールは具体的で詳細であることに加え、実行可能な範囲で組むことが大切です。
計画の段階で「根性でやり切る!」と無理なスケジュールを組んでしまうと、誤算が起きたとき取り戻すのが難しくなります。初めて企業する場合は分からないことだらけですのでスケジュールは余裕をもって組むようにしましょう。

8)経営システムを作る

/// 8-1.仕入れ先の確保

飲食店では仕入れ先の確保が大切です。なぜなら一定の商品を安定して提供し続けるためには、安定した仕入れが必要だからです。日によって仕入れに変動があったり価格が大きく変動したりすると、商品価格も安定して提供することができません。品質の悪いものを仕入れればお店の評価も下がってしまいます。
品質と価格に見合う、安定的に仕入れを行う仕組みや仕入れ先を確保しましょう。

仕入れ先の確保例

・卸売業者
・業務用通信販売業者
・市場
・鮮魚・精肉店
・近隣のスーパーなど

/// 8-2)人事システムを作る

1人でも人を雇う可能性があるなら人事システムを作る必要があります。人事システムとは給与や福利厚生、就業規則などを明確にしておくということです。人を雇うということは労働関連や税務関連などの法律にも関係してきます。また、雇用条件によって従業員の集めやすさや質も変わってきます。
どのような手当があり、どのようなルールで働いてもらうのかという人事に関する仕組みを確立しておきましょう。

人事システムの例

・給与システム(基本給、昇給制度、残業手当など)
・福利厚生(社会保険、雇用保険、労災保険など)
・就業規則(出退勤の方法、休暇届、身だしなみ、他就業に必要なルール)
・制服貸与の有無
・従業員得点(割引で利用できる、まかないが食べられるなど)

/// 8-3)商品を開発する

飲食店で利益を出すためには商品開発、メニューの開発は欠かせません。飲食店のメニュー開発では次の3点に周囲して開発を行います。

商品開発のポイント

・食材に掛けられる費用は売り上げの30%以内にする
・自分よがりのメニューにしない
・勘ではなくマーケティングを行いニーズに合わせた商品を開発する

お店の売り上げの配分は「食材費30%」「人件費30%」「家賃10%」「その他20%」「利益10%」です。食材費が30%を超えると他の経費や利益を圧迫してしまいます。

メニューはこだわりや出したいものを優先してしまうと失敗しやすい傾向があります。サラリーマンの多いオフィス街のランチで質の高い少量高額のパスタを出しても失敗する確率が高いように、商品開発では地域の特性や人の量、特徴をしっかり捉えたマーケティングを行い、お客様に必要とされる商品を開発することが大切です。

/// 8-4)集客の仕組みを作る

飲食店を経営するためには「どのように集客していくか」という仕組みがとても大切です。高い知名度や強いコネクションでもなければ、待っていてもお客は来ません。お店の存在を知ってもらい、お店のサービスにマッチしたお客様を呼び込む方法が必要です。

基本的にはマーケティングを行います。お店のコンセプト、ターゲットとするお客様の層が決まっていれば、後はどのように広告・宣伝していくのかという方法を考えます。

集客方法の例

・折込チラシ
・web広告
・看板の設置
・SNSの活用(X、Instagram、Facebookなど)
・地域のイベントに参加する(商工会や産業祭など)
・イベントを開催する(半額セールやフェアなど)
・特典のあるアプリの開発
・ポイントカードの発行

集客方法はターゲットに合わせることが大切です。例えば高齢層をターゲットとした場合、SNSやアプリクーポンなどは効果が弱くなります。サラリーマンをターゲットにしているのに地元世帯に折込チラシを入れてもターゲットは集まりません。

しっかりとマーケティングを行い、その人たちにどうやったらお店のメッセージが届くのかを考えて集客を行いましょう。

9)失敗しない店舗設計のポイント

/// 9-1.コンセプトの統一

飲食店のデザインを考えるとき統一したコンセプトでデザインすると落ち着いた雰囲気になります。店舗のデザインと提供する料理、サービスがバラバラだとお客様が混乱してしまいます。

例えばブルックリンスタイルの落ち着いたカフェ風の店内に着物を着た店員が本格インドカレーを出すお店があったらどうでしょうか。

何か明確な意図があってコンセプトをずらす場合もありますが、デザインは統一するのが基本です。いろいろなものを混ぜすぎると居心地の悪いお店になってしまいます。

/// 9-2.作業動線の確保

店舗デザインでは従業員が動く作業動線を考えて置くことが大切です。
飲食店では料理を提供するまでの時間とタイミングは「命」です。作業動線が悪いと混雑時に料理提供が悪くなり、提供タイミングが悪いとお客様は不快な思いをし、もう来店することはないでしょう。

店舗デザインではお店の雰囲気にこだわりたい気持ちもありますが、まずは飲食を提供するお店として、しっかりと機能性のある店内にする必要があります。

/// 9-3.お客様の動線の確保

お店の中の人の動きは従業員だけではなく、お客様の動きも大切です。
お客様の動きを予測し、従業員や他のお客様と動線が重なりにくくすることで快適な店内と、スムーズな人の流れが生まれます。

例えばお店の入り口と厨房への入り口が隣り合っていると、来店したお客様にぶつかる可能性がありますし、混雑時は料理を持って行くことにも影響が出てしまいます。
作業動線を考えたら、お客様の動きも予測して、お互いに重ならず、効率の良い動きができるかどうかを確認しましょう。

/// 9-4.DIYで作るメリットとデメリット

店内のデザインをDIYで作る人も多くいます。これにはメリットとデメリットがありますので、店舗作りの計画に入れるならよく考慮して行いましょう。

DIYのメリット

・自分のイメージに近いものが作れる
・業者に頼むより費用が安く済む

DIYのデメリット

・開業の忙しい中作時間を確保しなければならない
・ある程度の技術と知識が必要
・安全性の保障がない

DIYで内装や家具を作るのであれば、全てではなくできる範囲を絞って行うことが大切です。
内装や家具を自分で作るということは自分の思い通りになりやすく、費用も抑えられます。しかし、ただでさえやることが山積みの開業準備に加えDIYの時間を確保するのは現実的に厳しい場合があります。また自分で作るにはある程度の知識が必要です。配管をいじったり家具を作ったりする際は、安全に使えるという保証もありません。例えば椅子や机が食事中に壊れてしまうと、お客様がやけどなどの怪我を負う可能性もあります。

店舗にDIYを取り入れる際は安易に考えず、できることとできないことを分けて計画的に行うようにしましょう。

10)店舗設計事務所の選び方

/// 10-1.実績のある設計事務所を選ぶ

店舗設計事務所を探す場合、実績のある設計事務所から選ぶことが重要です。過去の実績は技術力や成果を知ることができるので、信頼性を確認することができます。
良い店舗をたくさん手掛けた実績のある事務所は、経験が豊富で成功の確率が高いと言えます。
店舗設計事務所を選ぶ際は、ホームページに掲載されている情報や実際に手掛けた店舗を見学するなどして、実績の高い設計事務所を選びましょう。

/// 10-2.複数の設計事務所で見積もりを取る

良い設計事務所を見つけたら、1つではなく複数の設計事務所から見積もりを取ることが大切です。見積もりを複数取ることで、最適な設計事務所と巡り合う確率が高くなります。
異なる事務所から見積もりを取ってもらうことで適正価格を把握しやすくなるだけではなく、設計事務所の個性や相性も知ることができます。
複数といっても多すぎると混乱して選べなくなってしまうことがあります。良い事務所を3つ程度に絞り込み、それぞれ相談と見積もりを依頼すると丁度良い基準となります。

/// 10-3.相性の良い設計事務所を選ぶ

設計事務所を選ぶ際は依頼主との相性も大切です。相性が良い設計事務所とは意見や希望が言いやすく、コミュニケーションの取りやすい設計事務所です。
コミュニケーションがスムーズな事務所では、クライアントの要望やアイディアがより正確に反映されやすくなります。結果として理想の店舗に近づきやすく、トラブルの回避にもなります。
設計事務所を選ぶ際は、クライアントの声を大切にしてくれる、相性の良い設計事務所を選ぶことが、良いお店作りにつながっていきます。

11)まとめ

飲食店を開業するにはまず本記事冒頭にありますロードマップを見て全体像をつかみましょう。

全体像のイメージが出来たら優先順に添って開店準備を始めてください。それぞれの作業は同時進行になるものもあります。スケジュールは余裕をもって組みましょう。初めての開業では分からないことが多く、失敗もするので予定より時間がかかることを想定しておきましょう。

この記事で紹介し開業までの必要事項を参考に理想のお店作りに向かって歩みを進めてください。

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