二世帯住宅で後悔する原因TOP3を解決!完全分離型でストレスフリーな二世帯生活に住む
1)後悔しない完全分離の二世帯住宅
二世帯住宅では親世代と子世代の2家族が同じ屋根の下で生活することとなります。お互いの気疲れやトラブルを未然に防ぐためにはどんな間取りが良いのでしょうか?
親子や親族とはいえ生活観や生活サイクルの違う2つの世帯が実際に暮らせば、どうしてもお互いにストレスがかかってきます。 二世帯住宅ではそれぞれ家族の生活スタイルに合わせた間取りを考えることがとても大切です。
この記事では二世帯住宅で【後悔するポイント】【知っておくべきこと】と、二世帯住宅の中でもトラブルが起きにくい【完全分離型】の間取りや生活空間の工夫についての情報を紹介しています。
注文住宅で新築を立てるとき、実際に間取りを考える大切なポイント、テクニック、工夫、どのようなことに気を付けていけばいいかを参考にすることができます。
2)二世帯住宅で後悔するポイント
二世帯住宅で後悔しない間取りを考えるために、まずはどのようなことが後悔やトラブルの原因となっているのか、ポイントをおさえておきましょう。
/// 2-1.プライバシー
プライバシーに関しては人によって価値観が違うため最も配慮が難しいと同時に、絶対に手を抜けないポイントです。
たとえ親子でも気を使いますし、まして血のつながっていない義理の親子同士であればさらにストレスは大きくなります。
【 プライバシーが少ない環境で起きやすいストレスの例 】
・親子や親族だからという甘えからプライバシーに踏み込んでしまう。
・お互い相手に迷惑をかけないようにという配慮で気疲れしてしまう。
・生活を把握、監視されているような窮屈さを感じてしまう。
/// 2-2.音
二世帯住宅でトラブルの原因になりやすいのが【音】です。
二世帯住宅では生活音が響きやすく、生活スタイルの違う親世帯と子世帯では活動する時間帯や音に対する受け取り方も違います。
音は気になりだすとさらによく聞こえるようになり、イライラや不眠などの原因になります。
【 よくある生活音トラブルの例 】
・子供の足音
・早朝や深夜の活動音
・音楽やテレビの響く音
・キッチンやトイレなどの排水音
/// 2-3.ルール
違う家族が一緒に住む二世帯住宅ではルールがとても大切です。親子だからといってきちんとルールを決めておかないとあとからトラブルの原因になります。
自分たちはマナーや常識があるから大丈夫だと思っていても、生活している中で小さな価値観の違いが目に付くようになり、トラブルや不仲が起きて後悔の原因になります。
【 ルールによるトラブルの例 】
・共有エリアの掃除や管理の仕方による意見の食い違い。
・地区の担当や役員など誰がやるのか決めていなかった。
・お互いの生活エリアへの出入りの仕方が不満。
3)プライバシーを優先した間取り
お互いのプライバシーを守るためには完全分離型の二世帯住宅がおすすめです。ただし二世帯住宅を建てる目的が親の介護や子供の育児の援助などがある場合は行き来のしやすさや共有空間を作ることも必要です。
ここではプライバシーを優先した二世帯住宅を建てる場合で、プライバシーを守るポイントを紹介します。
/// 3-1.玄関
二世帯住宅では仲良く正面に並んだ玄関をよく目にします。しかし最近では玄関を真逆の位置にして、あえて距離をおく間取りが増えています。
離れた玄関にする主な理由は2つです。
・玄関の出入りの音
・玄関先での来客
玄関の開閉音は意外と響きます。夜遅い子世帯、朝早い親世帯等、家族それぞれの生活サイクルは違います。
玄関の開閉音は時間帯によりうるさいと感じてしまうこともあり、お互いに気を使う原因にもなります。また。それぞれの都合やプライベートがあり、出入りを把握されたくないという人も増えている背景があります。
玄関は近くに並べずに距離を取って音や振動が伝わりにくくすることでプライバシーは守りやすくなります。
/// 3-2.キッチン
キッチンは面積と高い費用が必要なことから共同にしたいところですが、プライバシーを高めたいのであれば分けたほうがおすすめです。
【 キッチンを分けたほうがよい理由 】
・キッチンの使い勝手、好みの違い。
・使う時間帯を気にしなければならない。
・食事の内容、時間帯などの干渉や把握によるストレス。
キッチンはただ料理をする場所ではなく、家族の好みや個性が際立つ場所です。またいつ何を食べたかなどの干渉や把握されることへのストレスも毎日積み重ねると大きくなってきます。
好きなものを好きな時に作れない、食べられない、食事のプライバシーや自由は誰でも大切にしたいことです。
キッチンは多少費用がかかっても分けたほうがストレスは大きく変わってきます
/// 3-3.洗濯干し場
日々生活するうえで欠かせないのが洗濯です。生活の中で頻繁に使う場所だからこそ二世帯住宅ではそれぞれ分けた洗濯干し場を確保しておくことがおすすめです。
【 洗濯干し場を分けたほうが良い理由 】
・干している洗濯物を見られたくない。
・洗濯の頻度やタイミングへの干渉や把握をされたくない。
・洗濯物の量や使用面積、取り込みなど気遣いのストレス。
共働き世帯が多い昨今では朝干して午後取り込むということができません。共用にしておけば必然的に親に任せるような形にもなってしまい、洗濯干し場の使用方法やタイミングにも気を使います。
また当然のことながら下着など洗濯物を見られたくないということがあります。
ベランダや庭などを活用し、どちらがどこで洗濯物を干すのはあらかじめ想定した間取りにしましょう。
4)音の響き方に配慮した間取り
音は気になりだすとさらに大きな音に聞こえるようになり、場合によっては神経を病むこともあります。お互いの生活音が聞こえるというのは聞く方も聞かれる方も気持ちの良いものではありません。
生活音はできるだけお互いの生活空間に響かないようにすることが後悔しない二世帯住宅づくりでは大切です。
/// 4-1.収納やトイレを利用
壁や床天井だけはどうしても音が響きます。壁や床音が響かないようにするには使用頻度の少ない空間をクッションとして活用します。
【 使用頻度の少ない空間 】
・押し入れやウォークインクローゼット、パントリーなどの収納
・トイレや浴室
・階段
間取りを決める際にお互いの居住スペースの境目に収納や階段、トイレ、浴室など使用頻度の少ない空間を集めます。
使用頻度の少ないスペースをクッションにすることで、お互いに近づくタイミングも少なくなります。
リビングや寝室など音の気になる部屋を離すことで、お互いの生活音が聞こえにくくなります。
/// 4-2.寝室の間取り
寝室は静かで音が気になりやすい部屋です。大きな音は不快なだけではなく快適な睡眠の妨げにもなり、もっとも音への配慮が必要な部屋です。
【 寝室への音の配慮が大切な理由 】
・もっとも音が気になりやすい場所。
・睡眠の質が落ちて健康にも影響する。
寝室の上や隣には活動が活発な部屋を配置しない間取りにすることが大切です。
すべての音が聞こえにくくなるというのは難しいので、もっとも音が大きい部屋と寝室を離すようにしましょう。
もっとも音が大きい部屋は家族の状況にもよります。小さな子供がいるのであれば、子供が走り回るような場所から寝室を離すようにします。
/// 4-3.排水管
トイレやお風呂、キッチンの水を流した排水管の音は生活サイクルの違う二世帯では気になりやすいポイントです。
【 排水管の音が気になる理由 】
・夜間の排水音(特に寝室の真上など)。
・食事中のトイレの排水音。
・排水音への配慮のストレス。
排水管の音は家の構造と配管の位置によって変わってきます。建築業者の意見を聞き、間取りを考える際は水回りの真下に寝室などを配置しないようにします。
5)ルールを守りやすい工夫
二世帯住宅で一緒にすむためのルールはつくるのも守るのも簡単ではありません。
家族だからという思いから暗黙の了解でのやり取りや、ルールをつくるのは信用されていないのかという疑念を抱かれるなど。ルールはつくるだけでも難しいことです。
またルールをつくっても、どのように守るのかという価値観の違いや、忘れてしまうこともあるでしょう。
こうしたルールのトラブルを未然に防ぐためには、あらかじめルールを守りやすい環境を整えておくことが大切です。
/// 5-1.鍵をつける
信用している家族だからこそ傷つけない無言の配慮が必要です。鍵は信用していないからつけるのではなく、お互いのタイミングや踏み込んでほしくないプライバシーを守る境界線になります。
【 鍵が必要な理由 】
・お互いの居住空間へ勝手に出入りされたくない。
・鍵があることで入ってよいタイミングが分かる。
・お風呂や脱衣所などを共有する際はプライバシーを守れる。
鍵がなく、なんとなくあやふやにしているとそれぞれの価値観で行き来するようになってしまいます。鍵があることでお互いに「ここからは勝手に入ってほしくないんだな」というメリハリができ、最低限お互いのプライバシーを尊重することにも繋がります。
/// 5-2.ポストは分ける
ポストは友人からの手紙や重要な書類などプライバシー性の高い場所です。共有しておくと様々なトラブルの原因にもなるので分けておく方がおすすめです。
【 ポストを分けたほうが良い理由 】
・はがきや書類など個人的な配達物への干渉、把握されたくない。
・大切な配達物の紛失。
ポストを分けて設置する際は配達員がはっきりどちらの世帯の物かわかりやすくする工夫が必要です。
二世帯分が一体化した専用ポストも販売されています。鍵付きの物にしておけばお互いの郵便物を勝手に見られる心配もなくなります。
6)二世帯住宅の間取りの種類
プライバシーやいろいろなトラブルを防ぎ、快適な二世帯住宅として完全分離型にする事例が増えてきています。
二世帯住宅の形にも【完全共有型】【一部共有型】【完全分離型】などの種類があります。
二世帯住宅にする目的や家族の状況によって必ずしも完全分離型が最適とは限りません。二世帯住宅の種類を知ったうえで完全分離型を選び、間取りを決めていくという方法をおすすめします。
/// 6-1.完全共有型
わかりやすい例を挙げるとサザエさんの磯野家とフグ多家のような状態です。
それぞれの個室はあるもののリビング、キッチン、トイレ等は全て共用となります。
【 メリット 】
完全共有型では居住空間の区切りがないため家族の距離が近く、助け合うことを前提にした同居に向いています。
親の介護、共働きやひとり親による子育ての協力を前提としている場合は動きやすく効率が良い間取りです。
【 デメリット 】
居住空間に区切りがないためプライバシーはほぼありません。共同生活体として生活のサイクルが違っても併せていかなければなりません。
また世帯の区切りがないので水道光熱費等の分割も難しく、ルールや配慮が必要になります。
/// 6-2.一部共有型
お風呂やトイレ、玄関など、住宅の一部に共有する空間がある二世帯住宅です。
共有する部分に決まりはなく、住む人たちの条件に合った場所を共有します。共有する空間とは別に各世帯それぞれ分割された生活を行うことができるようにします。
【 メリット 】
水回りやキッチン、玄関など必要な設備を共有できるので建築費用が安く済みます。また敷地面積を有効活用できるので各部屋の間取りも広くとることができます。
【 デメリット 】
区切りがあるとはいえ共有空間を使う際にはお互い気を使い、ルールなども必要になります。
共有空間の水道光熱費等の分割が難しく、ルールや配慮が必要になります。
/// 6-3.完全分離型
完全分離型は一つ屋根の下に2つの住宅が入っているように、それぞれの世帯の生活空間を完全に分離できるようにした二世帯住宅です。
基本的には別世帯のように生活するので何日も会わないことがあるほど生活が分離されます。
【 メリット 】
完全に分離された生活となりプライバシーやトラブルの原因は最小限にすることができます。
別々の居住空間でありながら行き来しやすく、いざというときに助け合うことができます。
【 デメリット 】
生活空間が完全に分離されているので親の介護を目的とした二世帯住宅には不向きです。お互いのプライバシーが確保されている反面、交流する機会が少なくなります。
7)完全分離型二世帯住宅の間取り
完全分離型の二世帯住宅の間取りには「横割り」と「縦割り」の大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴に違いがありますのでメリットやデメリットをご紹介します。
/// 7-1.横割りの間取り
横割り型の完全分離とは、階ごとに世帯を分けた間取りの二世帯住宅です。
玄関は1階に2つ作り、片方は玄関からすぐに階段で2階に上がる方法と外から階段で上がり、2階に玄関をつくる方法があります。
【 メリット 】
1Fは階段なしのバリアフリーにできます。親が高齢になって階段の昇り降りが難しくなったことを想定した効果的な間取りが可能です。
土地面積をフル活用できるのでリビングを大きくしたいときなど面積の広い空間を作ることができます。
【 デメリット 】
上下の音が聞こえやすい構造になります。なるべく生活音が聞こえにくい間取りに工夫をしても真上と真下では対策をしても限界があり、防音の床にするなどの対策が必要です。
上の階は階段を上らなくてはならないという負担があります。例えば子供が小さいうちは抱きかかえて階段を上ることになります。また買い物でも荷物を運ばなくてはならないという負担があります。
/// 7-2.縦割りの間取り
縦割りの完全分離とは、住居を縦に分割した間取りの二世帯住宅です。それぞれの世帯に複数の階があり、それぞれに専用の階段があります。縦長の住宅が2つくっついているイメージです。
【 メリット 】
世帯の境目に収納やトイレなど使用インドの低い空間を配置することで生活音が響きにくい間取りに出来る。
それぞれの世帯に1階と2階があるので、頻繁に使う者や重いものは1階に置いておくことが可能になります。
【 デメリット 】
それぞれの世帯分、階段が必要になるので面積を取られます。また面積を分割して使うので広い空間はつくりにくくなります。また土地面積が狭くなるので間取りに制限ができやすいという特徴もあります。
親が高齢になると階段が辛く生活しにくくなることも考え、昇りやすい階段や昇降機の設置なども検討しておく必要があります。
8)後悔しない完全分離の二世帯住宅まとめ
トラブルなどで後悔しない二世帯住宅をつくるには、完全分離型の家づくりが現代人にあった生活スタイルとしておすすめです。ただし家族の状況によっては一部共有や完全共有型の方が上手くいくこともあります。
まずは後悔の原因となるトラブルのポイントを押さえ、色々なタイプの二世帯住宅や間取りの工夫を取り入れてみましょう。
二世帯住宅は本来助け合う空間を共有することが一番のメリットです。今回の記事を参考にご家族でよく話し合い、よりよい家づくりの参考にしていただければと思います。