注文住宅でベランダは不要?洗濯物はどうするの?ベランダの必要性を徹底検証!

はじめに

最近、新築住宅ではベランダを設置しないケースが増えています。でも洗濯物はどうするのでしょうか?ベランダがなくて困らないの?と疑問に思われていませんか?
実はベランダの設置にはデメリットも多くあるのです。共働き家庭の増加や乾燥機器の発達により、ベランダは必ずしも必要ではなくなってきています。

今回の記事ではベランダが必要なのか、不要なのかということをメリット・デメリット両方の視点から考えていきます。この記事を読めば自分にとってベランダが必要かどうか、またそのポイントについて理解委することができます。
新築でベランダ設置にお悩みの方は是非参考にしてください。

1)ベランダの使い道

まず初めに全館空調とはどのような空調のことなのかという前提を確認します。「もうわかっているよ」という人は読み飛ばして次の章へ進んでください。

/// 1-1.ベランダとは

ベランダについて解説する前に、この記事でのベランダの定義を確認しましょう。ベランダに似た設備にはバルコニーやインナーバルコニー、テラスがあります。それぞれ厳密には異なる特徴がありますが、この記事では、ベランダ、バルコニー、インナーバルコニーをまとめて「2階以上にある屋外スペースをベランダ」として解説します。なお、1階の屋外設備であるテラスはここには含みません。

それでは、まずベランダの使い道について解説していきます。ベランダが必要かどうかを考える際、どのような使い道があるのかを知ることは、後悔しないために重要なポイントです。

/// 1-2.物干し場

ベランダの最も一般的な使い道は洗濯物や布団を干す場所としての利用です。湿気の多い日本では特に、日光と風を受けてダニなどの害虫を駆除し、カビの発生を抑えることに役立ちます。また、住宅地では土地が狭く庭などに洗濯ものを干すスペースを確保することが難しいことや、プライバシー、防犯上の理由からも2階のベランダで洗濯物を干したいという人が多い傾向です。
ベランダは日本の家庭では日常的に欠かせない物干し場として活用されています。

/// 1-3.物を置いておくスペース

ベランダは物を置いておくスペースとしても活用できます。家の外に雨ざらしにはしたくないけど、室内には置きたくないという物もあるのではないでしょうか?

例えば雑草取りや除草の道具、交換用タイヤなどです。またエアコンを設置する際には室外機を置く場所としても活用できます。
ベランダのスペースを有効活用することで家の中の物を整理することができます。

/// 1-4.家の価値を高める

ベランダを付けることで家の価値は上がります。多くの人がベランダ付きの家を好み、見た目も良くなるため、需要があります。

また、ベランダの設置には通常追加費用がかかるため、ベランダ付きの家は価格が高くなります。そのため、ベランダ付きの住宅を売りに出した場合、同等の条件の住宅と比較して、不動産市場での評価が高くなる傾向があります

/// 1-5.趣味や憩いの空間

ベランダは趣味や憩いの場として活用することができます。
ガーデニングスペースとしての活用や景色を楽しんだり、椅子やテーブルを置いて喫茶スペースにしたりと、趣味や憩いの空間として利用することができます。最近ではコロナやアウトドアの流行からベランダでキャンプをする「ベランピング」をする人も増えています。
ベランダはプライベート空間として、楽しみのある日常にも活用することができます

2)意外と多いベランダのデメリットとは

ベランダはあって当然と思っている人が多いため、そのデメリットについて考える人は多くありません。意外に多いベランダのデメリットを確認し、ベランダが本当に必要かどうかを判断する材料にしましょう。

/// 2-1.雨漏りの原因

住宅で雨漏りが起きる原因として最も多い場所がベランダです。ベランダは屋根ほどの耐久性を持っていないのに、紫外線や雨の影響を受けやすい場所です。

防水処理が不十分な場合や防水塗装が劣化していると雨水が外壁内に侵入し壁内の断熱材にカビが発生したり柱を腐らせたりします。また、室内まで水が浸入してくれば天井や床にシミができたり腐ったりなど深刻な問題に発展していきます。
ベランダを作るということは外壁以上に防水対策が必要です。

/// 2-2.建築の追加費用

ベランダは家を建てるセット料金ではなく、追加のオプションとして費用が発生します
ベランダの施工には材料費や工事費など、家だけを作るより手間とコストがかかるからです。ベランダの大きさや素材、デザインによって異なりますが、おおよその相場として50万円~100万円程度の費用が必要です。ベランダを設置するのであれば追加費用も予算に考えておく必要があります。

/// 2-3.維持メンテナンス

ベランダは雨漏りの原因になるとお話ししましたが、そうした被害が発生しないためにも定期的なメンテナンスが必要です。大がかりなメンテナンスとしては5年から10年程度の周期で防水や防錆のメンテナンスを行う必要があります。

表面の塗装が剥がれている、ひび割れ、こすれて薄くなっているなどの状態が見られればメンテナンスのタイミングです。費用は1㎡あたり5,000~10,000円程度かかります。
ベランダを作るのであればこうした定期的なメンテナンスと費用を考慮しておく必要があります

/// 2-4.防犯上、侵入経路になりやすい

ベランダは防犯上のリスクが高い場所です。近くに足がかりになるようなものがあればベランダは侵入経路になります。また洗濯物を盗まれるなど盗難にも防犯対策を講じる必要があります。2階だからと油断してしまう点を犯罪者は狙っています。
ベランダを設置する際は侵入経路にならないような間取りや周囲の状況を確認する必要があります

/// 2-5.スペースを取られる

ベランダを作るということはその分他の部屋が狭くなっているということです。
一部とはいえ建物の敷地を占有するためその分室内に使うことのできる敷地が減少します
特に敷地に余裕がない場合はベランダを設置することで他に必要な住空間が狭くなってしまうことがあるので注意が必要です。
逆に言えば、ベランダを作らず、その分室内を広くするという考え方ができます。

/// 2-6.外に洗濯物を干すデメリットが増えている

ベランダを洗濯物や布団の物干し場所として考える場合、外に干すことにもデメリットがあります。
外に干すということは飛来物が付着しやすい環境です。花粉症のひどい人は花粉の付着を防ぐために外で干さないという人も増えています。
最近では「黄砂」「PM2.5」なども問題となっています。外に干せば気持ちよく乾いて殺菌できる、衛生的だという面だけではなく、有害な物質が付着するデメリットが増えています。

/// 2-7.物干しは天気に左右される

ベランダがないと洗濯物が干せなくて困ってしまいますが、ベランダは天気に左右されやすい場所です。
雨が降っているときや風の強いときは洗濯物を干すことができません。雪やにわか雨の多い地域、梅雨の期間などでは洗濯物を干すのが難しい時期があります。ベランダを設置したからといて毎日快適に洗濯物や布団が干せるわけではないといことを考慮してベランダの設置を検討しましょう。

3)ベランダの必要性が高い家庭とは?

ベランダを設置するには有効な活用方法があればデメリットもあります。ベランダが必要か不要かを判断するにはベランダの特徴だけではなく、その家に住む人たちのライフスタイルにも関係します。
では、どのような家庭がベランダを活かせるのでしょうか?必要性が高いと思われる家庭の特徴を解説します。

/// 3-1.洗濯物や布団は日に当てて乾かしたい

1階や庭に物干し場を確保することが難しく、それでもやっぱり日に当てたいと考えている家庭はベランダの設置を前向きに検討すると良いでしょう。
日差しと外気に干した洗濯物や布団は乾燥機や室内干しにはない清潔感があります。日に当てるということは防臭や殺菌効果もあります。また日に干した独特な香りが好き、という人もいます。
洗濯物や布団を太陽の光に当て、さっぱりとした気持ちになりたいという家庭にはベランダの存在は大切です。

/// 3-2.隣の家との距離が十分とれる

隣り合う住宅や建物と十分な距離を確保できる場合、日照権やプライバシーの問題への心配が少なく、ベランダ設置に適した環境です。
隣近所が近いと日がうまく当たらなかったり、洗濯物が見えやすかったりなどプライバシーの問題も生じやすくなります。
敷地に余裕があり、隣の家と距離を確保できるのであれば、ベランダを設置する十分な環境があるといえるでしょう。

/// 3-3.ベランダを趣味や息抜きの空間にしたい

ベランダを趣味や娯楽など楽しむ空間として活用したいと考えている家庭ではベランダの設置が向いています。
ベランダの間取りをあえて広く取り、洗濯物を干すだけではなく子供やペットと楽しめる空間にすることもできます。
家の中を生活だけではなく楽しめる空間にしたいと考えている人は何に使いたいのかをよく考えてベランダを設置するのが良いでしょう。

4)ベランダの必要性が低い家庭とは?

ここからは3章とは逆に、ベランダを設置してもあまりメリットない、必要性が低いと考えられる家庭の特徴を解説します。

/// 4-1.共働きの家庭

夫婦がお互いフルタイムの共働きの場合、ベランダに洗濯物や布団を干さなくなる傾向があります。雨など急な天気の変化があっても取り込むことができないので、外に干すことが難しくなります。
こうした家庭の場合、衣類乾燥機などを使用するケースが多く、結果的にベランダをほとんど使わなくなっていきます
共働きで、ベランダを物干しメインに活用していこうと考えているのであれば、本当に活用できるのか、よく検討する必要があります。

/// 4-2.花粉症などアレルギー症状がひどい家族がいる

花粉などのアレルギー症状が強い家族がいる場合はベランダで洗濯物を干すのはあまりおすすめできません。最近では有害物質を含む黄砂やPM2.5などアレルギーや健康に害を与える飛来物が増えています。
ご家族にアレルギーが出やすい体質の人がいる場合、外に干すことで症状を悪化させてしまうことがあります
アレルギー症状が出やすい人はベランダではなく別の方法で洗濯物や布団を清潔に保つ方法を検討すると良いでしょう。

/// 4-3.乾燥機や室内干しのスペースを十分確保できる

洗濯物の容量に合った乾燥機や室内干しのスペースを確保できるくらいの敷地を用意できるのであれば、ベランダはなくても良いかもしれません。
ベランダは雨漏りの原因になるなどデメリットも多くあります。必要がなければ、無いほうがリスクを減らすことができます
ベランダの活用方法の中でも、他に代替が難しいのが物干し場としての活用です。この問題がクリアできるのであれば、ベランダの必要性は少ないといえるでしょう。

5)ベランダを作るとしたら

ベランダを設置することによるリスクを最小限にするためのポイントがあります。ベランダを作るとしたらどのようなことに気を付けておくと良いのかを解説します。

/// 5-1.水栓があると便利

ベランダに水栓があると、日々の掃除やメンテナンスに便利です。ベランダは住宅の中で最も雨漏りのリスクが高い場所です。防水加工や塗装の定期的なメンテナンスに加えて日々の掃除も大切です。ベランダには雨水などを流す排水溝がありますが、飛んできた葉や日々のゴミが結構たまるものです。これを放置しておくと排水溝が詰まります。ベランダに水がたまると浸水しやすくなり、防水機能の劣化にもつながります。
ベランダをきれいに保ち、日々のメンテナンスをしていくために水栓があると便利ですので設置を検討してみましょう。

/// 5-2.使う目的を明確にしておく

ベランダ設置を検討する際に最も大切なのは、使う目的をはっきりさせることです。家庭の状況や将来のことも考え、どのように使うのかを具体的に検討しましょう。洗濯物を頻繁に干すのか、ガーデニングやリラックススペースとして使うのかを考え、それが継続的に使えるかどうかも考慮します。また、使う目的を考える際には生活動線も確認することが大切です。

例えば、洗濯物を干す場合、洗濯機からベランダまでの距離が遠いと、持っていくのが大変です。毎日の作業なので、動線に失敗すると後悔の原因になります。ガーデニングやリラックススペースとして使う場合も、日当たりや周囲の目が気にならないかを確認しましょう。

ベランダを設置する際は、使う目的を明確にし、実際にどのように使うかを具体的に考えることが大切です。

/// 5-3.メンテナンスの費用を確認

ベランダには定期的な防水加工を維持するためのメンテナンス費用が必要です。費用はベランダの広さや材質、設置場所や地域によって異なります。新築でベランダを設置する際には、どのくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

ベランダの防水加工には、一般的にFRP防水が用いられます。これはプラスチック製の防水マットを敷き、その上に塗装を行う工法です。防水層を保護する塗装の塗り替えや、防水層の貼り替えなどのメンテナンスが必要です。また、防水性の高い塗装のみを行う工法もあります。

設置するベランダがどのような工法で防水加工されるのかを確認し、メンテナンス費用について予算を考えておきましょう

/// 5-4.防犯性と安全性を確保する

ベランダには犯罪者の侵入や転落の危険性に配慮する必要があります。ベランダは空き巣などの犯罪者に狙われやすいため、外部から足がかりになりやすい壁や物置がないように設計し、防犯カメラの設置を検討しておきましょう。

また、ベランダは小さな子供の転落事故が多い場所です。子供が簡単に登れないように柵の高さや形状をよく考える必要があります。

ベランダを安心して使うためには、防犯性と安全性についてしっかり考慮することが大切です。

6)ベランダを作らないときの洗濯物はどうする?

ベランダを作らない場合、多くの方が気になるのは「洗濯物はどうするの?」ということではないでしょうか。
ベランダに干すこと以外にも洗濯物を乾かす方法はあります。どのような方法があるのか、具体的に解説していきます。

/// 6-1.衣類乾燥機や布団クリーナーの活用

衣類乾燥機や布団クリーナーなどの家電を活用するという方法があります。家電を上手く使うということは洗濯物や布団の衛生を保つための便利な方法です

衣類乾燥機は、短時間で洗濯物を乾かせるため、忙しい家庭には特にメリットがあります。また、乾燥機の熱で雑菌やダニを減らせるため、衛生面でも優れています。一方で、電気代がかかることや、乾燥機によっては衣類の縮みや傷みが生じる可能性があるというデメリットもあります。
布団クリーナーは、ダニやホコリを除去し、布団の清潔さを保てますが、定期的な使用が必要で、手間がかかる点がデメリットです。

これらの家電製品をうまく活用することで、清潔で快適な生活を維持できます。

/// 6-2.室内干しエリアの確保

間取りを工夫して室内干しエリアを確保するという方法があります。リビングや寝室の一角に物干しスペースを設けると、省スペースで洗濯物を干せるというメリットがあります。

室内干しのポイントは収納可能な便利な道具を上手に活用することです。突っ張り棒や折りたたみ式の物干しスタンドを使えば、使用しない時は収納しておけるので便利です。

室内干しのデメリットとしては、室内の湿度が高くなりやすく、カビやダニの発生を招くことがあります。また、室内干しはインテリアを損なうこともあるため、見た目に配慮する必要があります。間取りや収納を活用し、適切な対策を講じることで、室内干しのメリットを最大限に活かせます。

/// 6-3.除湿機能のある空調

最近の住宅は冷暖房効率を上げるために高い気密性を持っています。そのためエアコンだけではなく換気などの空調設備を設置するという選択肢もあります。除湿機能のある空調を活用することで、洗濯物が早く乾き、室内の湿度管理もできるようになります。

エアコンや専用の除湿機を使うと、湿度が下がり、カビやダニの発生を防げるため、室内環境が快適になります。また、湿気が取り除かれることで、布団やカーペットの乾燥も促進されます。

デメリットとしては、除湿機やエアコンの購入費用や電気代がかかることが挙げられます。また、定期的なメンテナンスが必要で、フィルターの掃除など手間がかかる点も考慮する必要があります。

7)まとめ

ベランダは物干し場や趣味のスペースとして便利ですが、設置には費用やメンテナンス、防犯対策などのデメリットがあります。ベランダの必要性は家庭のライフスタイルによって異なり、共働きやアレルギー体質の家族がいる家庭では必要性が低い場合もあります。

設置する際には、目的や設計のポイントを明確にし、生活動線や防犯性、安全性を考慮することが大切です。一方、ベランダがない場合でも、衣類乾燥機や布団クリーナー、室内干しエリア、除湿機能のある空調、風通しの良い間取りを活用することで、快適で衛生的な生活を維持できます。

ベランダを設置するかどうかは自分たちの生活スタイルに合わせた最適な方法を選びましょう

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